MLBの洞窟

WBCと10の視点

日本代表の試合が目前まで迫ってきた。というかもう始まってしまった。

今回のWBCはなんだか異様な盛り上がりを見せている。侍ジャパンは"絶対優勝"がテーマと思えるほど、選手もファンも他の結果を望んでいない。

しかし日本だけを応援していたら見落としてしまうこと、たくさんありそうだ。20カ国も出場しているのだから。

そこで少し違った視点からWBCを掘り下げてみる。独断と偏見に満ちたアンバランスな紹介を始めよう。



目次

WBCを眺めて
プール間の偏り
投打の偏り

二つのプール
過酷すぎるプールA
決勝レベルのプールD

国々のこと
初出場の3カ国
日本を待ち受ける未知
どうなる因縁の対決

今と昔の選手たち
大谷とダルビッシュの共闘
"母の国"を背負える喜び
選手より強そうな監督たち



プール間の偏り

今回のWBC、プール間で強さに偏りがあると感じた方もいるかもしれない。

そこで各国で出場するメジャーリーガーの数と、fWAR値を比較してみる。

出場国のMLB選手数とfWAR値

赤マルが野手、青マルが投手。右にあるマルほど良い選手である。

メジャーリーガーとしてカウントしているのは、去年1試合でもMLBの試合に出場した選手たち。ちなみに二刀流は大谷1人しかいないので、投手と打者で分割させてもらった。

見てわかる通り、明らかにプールCとプールDにメジャーリーガーが集中している。そしてこれは二つのことを意味する。

  1. メジャーリーガーはそもそもアメリカと中南米に集中している
  2. 日本は圧倒的有利なプールで戦うことができる

日本や韓国など、自国の野球リーグがある程度のレベルにある国もあるが、最高峰の舞台がMLBであることに変わりはない。そして違うリーグでプレーする選手同士を比較するのは難しい。

つまり現在の強さを指し測る上で、メジャーリーガーの数と活躍を比較するのは妥当な方法ではなかろうか。

特に日本は開催国としてのアドバンテージもある。対戦相手と開催場所を考えると、最も条件の良い国の一つではないかと思う。

ただ重要なのは盛り上がりと自国の優勝である。始まってしまえば、このような偏りはほとんどの人が忘れるだろう。


投打の偏り

もう一つの偏りが投手と野手にある。

以下は昨年のMLBにおけるMVP投票上位とサイ・ヤング賞投票上位の選手たちである。

MVP投票上位とサイ・ヤング賞投票上位

MVP投票両リーグトップ10のうち、WBCに出場する選手は75%。一方でサイ・ヤング賞投票両リーグトップ5で見ると30%まで下がる。

この比較で見て取れるように、大物投手の少なさは大会が近づくにつれて度々指摘されていた。日本の投手陣が大会随一と言われるのは、サイ・ヤング賞級のスター選手が多数欠場していることも大いに影響している。

欠場や辞退の理由は様々であり、それぞれ尊重されるべきであるが、根本的には野球における国際大会の難しさが表れているのだろう。

ベースボールのシーズンは長い。WBCの開催時期に関してはオールスター後やプレーオフ後など様々な意見が検討されているが、シーズン中の開催はメジャー中断を望まないファンが多いため難しく、シーズン後の開催は肉体的疲労やオフの短縮となるので難しいという現状。

結局シーズン直前の3月が唯一の開催可能時期とされている。それでも欠場する選手が後を経たないことは、今大会でもあらためて浮き彫りになっている。


過酷すぎるプールA

1枚目のチャートを見て、スター級のメジャーリーガーが少ないプールAになんだかパッとしない印象を抱いたかもしれない。

確かに他のプールに比べて見劣りするのは事実だろう。しかしそれに反した移動距離の過酷さを紹介せずにはいられない。

まずマップを眺めてみる。青い地域が今回のWBC出場20カ国だ。(黄色い地域は予選で敗退した国)

WBC出場国を示すマップ

そしてこれに、プールごとの国構成が分かるように開催地のマークと矢印を付け足してみる。

WBC出場国を示すマップ(印付き)‌

するとプールAの移動距離が飛び抜けて長いことがわかる。

試合が行われる台湾以外の国は、ほとんど地球の反対側からやってくるのだ。

そして仮にキューバやオランダが決勝ラウンドに進めば、2週間でほとんど世界一周の旅である。メジャーリーグの過密な日程と過酷な移動距離が可愛く思えるレベル。

この移動の長さは、アメリカ大陸に出場国が集中していることと、開催地が日米を中心に決まっていることで説明がつく。逆に言えば、世界一の国際大会で中南米やヨーロッパの国々を極東の僻地まで引っ張って来れるところに、日本野球の強さと人気が表れているようにも思う。


決勝レベルのプールD

今大会最も激戦が予想されるのがプールD。特に上位3カ国の顔ぶれは、「死のプール」と言われるにふさわしい豪華絢爛ぶりである。

死のプールD: 三つ巴

この3カ国だけで、メジャーリーガーは合計91人、全体の41.9%に上る。

考えてみてほしい。ドミニカ共和国、プエルトリコ、ベネズエラの3カ国はいずれも優勝が可能な代表メンバーを揃えている。

優勝経験のあるドミニカ共和国や、過去2大会連続準優勝のプエルトリコは、優勝以外は眼中にないだろう。その中で少なくとも一つは、準々決勝ラウンドはおろか第1ラウンド敗退という苦汁を飲むことが確定しているのだ。

決勝レベルでかつ、MLBワールドシリーズを超えるほどの高レベルな戦いがほとんど日本の野球ファンに見られないというのは、もったいない。

あまりにももったいない。


初出場の3カ国

今回初出場の国が3つある。イギリス、チェコ、ニカラグアである。

そしてどの国にも魅力あふれるストーリーがあるのだ。

イギリス: ベースボール発祥の国

イギリスはアメリカよりも"Baseball"の歴史が長い。近代ベースボールが確立したのは紛れもなくアメリカなのだが、その言葉自体、そしてスポーツとしてのルーツはイギリスにある。

というのも、アメリカに野球が持ち込まれる以前の1748年にプリンス・オブ・ウェールズ、つまりイギリス構成4地域の一つであるウェールズの統治者であり英国皇太子のフレデリック・ルイスが、家族と"Base-ball"を楽しんだ、という記載が残っている。

アメリカで"Baseball"という言葉が登場したのは、その43年後の1791年であった。

そんなイギリスが、昨年9月のWBC予選でスペインに劇的なサヨナラ勝ちを収めて初の本戦出場を手にしたのは、イギリス第4代女王エリザベス2世が崩御してから12日後。国中が喪に服す中での感動的な勝利だった。

マリナーズのNo.1プロスペクトであり、20歳になったばかりのハリー・フォードを中心に、初のWBCでの躍動に注目が集まる。

チェコ: 小さな国の大きな夢

同じく初出場のチェコも、スペインに勝利して初の予選突破を果たした国である。

この小国が他のヨーロッパからの参加国と異なるのは、ほとんどメジャーを経験したことがない自国生まれの選手たちで構成されていること。唯一2021年までメジャーでプレーしたエリック・ソガードが召集されたが、彼はアメリカ育ちである。

代表選手たちは仕事とプライベートの合間を縫い、時には睡眠すら削って、ただ愛してやまない野球というスポーツに、子供のように情熱を注いできた。

精神科医の監督、金融アナリストの主将、高校で地理を教えるセンターなど。スペインからの劇的勝利の翌日も、何人かの選手は普段と変わらず仕事に向かったという。

以下はそんなチェコ代表のドキュメンタリー。

チェコの野球史で最も歴史的である今大会に、生活がかかった仕事を休んで出場する選手たちの野球愛、そして夢を実現した道のりはこの上なく称賛に値する。

ニカラグア: 野球を長く愛する国

中央アメリカの小国ニカラグアは、今回がWBC本戦初出場であることが不思議なくらい、ベースボールが盛んな国だ。国民にとっては国技のようなスポーツで、マーチングバンドやチアリーダーが試合を盛り上げる力の入れよう。

なんといっても、この国では130年以上も昔からベースボールがプレーされてきた。日本とほとんど変わらない歴史の長さである。

特に際立つのが、1976年にニカラグア出身として初のメジャーリーガーとなったデニス・マルティネスだろう。彼は1991年に史上13人目、アメリカ人以外では初となる完全試合を達成。通算245勝を記録し、2016年にはカナダ野球殿堂入りを果たした。

今回の代表入りメンバーでは、ヤンキースの中継ぎであるジョナタン・ロアイシガが中心選手として期待されている。

ちなみにプエルトリコの英雄ロベルト・クレメンテは、ニカラグア地震の被災者へ救援物資を届けるために同乗した飛行機の事故で落命している。

ベースボールの神様が仕組んだ運命か、ニカラグア史上初のWBC本戦はプエルトリコとの試合である。その後も死のプールDで、強豪たちに立ち向かう。


日本を待ち受ける未知

さて、仮に日本が第1ラウンド、準々決勝ラウンドを突破したとして、乗り越えなくてはならない壁がある。

それは今大会でメジャーリーガーを最も要するアメリカ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコ、メキシコからの勝利である。

メジャーリーガー最多4カ国との過去対戦成績

実は過去4大会で日本がこの4カ国から勝利したのは、アメリカとメキシコに1回ずつだけ。そしてドミニカ共和国、ベネズエラとは対戦経験ゼロである。

日本のメンバーも過去最強、そして上記の強豪国たちも過去最強の布陣を揃えている。日本はこれまで2度優勝しているとはいえ、すべての国を打ち負かしてきたきたわけではない、という未知要素にどう立ち向かえるだろうか。


どうなる因縁の対決

今回のWBCでそれぞれ異なる盛り上がりを見せそうな対決を3つ選んだ。いずれも第1ラウンドでのマッチアップである。

ドミニカ共和国 vs プエルトリコ

2013年大会の決勝戦と同じカードが、第1ラウンドのプールD最終戦で再現される。(日本時間3月16日朝8時)

この試合はMLBファンにとって、決勝よりも、どのステージよりもおそらく贅沢な試合である。昨年の各ポジション最高の選手をいくつか挙げるだけでも分かる。

ドミニカからは昨年最高の先発サンディ・アルカンタラ、最高の三塁手マニー・マチャドの他に、若手のスターもフアン・ソト、フリオ・ロドリゲス、ジェレミー・ペーニャなどなど。両手で数えて余りあるスター軍団だ。

プエルトリコからは昨年最高の遊撃手フランシスコ・リンドア、最高の守護神エドウィン・ディアス、爆発力の怖いハビアー・バエズなど。層の厚さではドミニカ共和国に劣るものの、過去2大会合わせて最も好成績を残している安定感は侮れない。

この両国はWBCで過去6度対戦していて、3勝3敗の五分である。しかしその内訳を見てみると、興味深いことが分かる。

ドミニカ共和国は優勝した2013年に3度の対戦でプエルトリコに全勝している。一方で、それ以外の2006年、2009年、2017年に関しては、いずれも1度ずつの対戦で、全てプエルトリコが勝ちを収めている。

そして今大会では第1ラウンドでの対戦の後は、再び対戦するとしたら決勝戦のみ。

見逃すわけにはいかない。

日本 vs 韓国

日韓戦はいろんな意味で盛り上がりを見せる独特のカードである。

特に2009年大会決勝でイチローが放った2点タイムリーは日本にとってWBCベストシーンと言えるだろう。あるいは2006年大会、2009年大会、それぞれでの第2ラウンド敗戦後に韓国がマウンドに国旗を立てたことが記憶に蘇る人も多いはずだ。

しかし実は、WBCでの日韓戦は2009年を最後に一度も実現していない。つまり明日3月10日19時からの試合が14年ぶりの再戦ということになる。

過去の対戦成績は4勝4敗。日本がWBCで最も多く対戦し、最も多く負けている国である韓国とどのような戦いを繰り広げるだろうか。

カナダ vs メキシコ

今回共にプールCに振り分けられたカナダとメキシコの間には、2013年大会でWBC唯一の乱闘が起こった過去がある。

カナダが大量リードで迎えた9回にクリス・ロビンソンがセーフティバントを決めると、メキシコの投手アーノルド・レオンが次の打者に内角攻めを2球、そして球審による警告後に故意死球を与えて乱闘に発展したのだ。

国際大会らしからぬ激しい衝突で、両チーム合わせて7人が退場となった。

ちなみに当時三塁手として投手に当てろと合図したのは、後にロッテや巨人などでも活躍したルイス・クルーズ。またこの時カナダのコーチだったラリー・ウォーカーは、今回のWBCでもコーチとして代表入りしている。

今大会の目玉試合ではないが、背景として知っておくと一味違った試合観戦ができそうだ。(日本時間3月16日朝4時)


大谷とダルビッシュの共闘

今回の日本代表は才能と実績の塊であり、ドリームチームと言えるだろう。しかし錚々たる顔ぶれにおいても、大谷とダルビッシュの異次元さは際立っている。

大谷は言うまでもなく、世界最高のプレイヤーである。それも二刀流として、今まで不可能と思われていた極地において人々の期待を越え続けている。

そんな大谷の異端さを表しているのが以下チャート。

MLBの洞窟

縦軸には投手たちが、横軸には打者たちがひしめき合っている。一流の選手ばかりだ。ただ大谷だけは、競争相手のいない広いキャンバスで、常に自分自身と戦っている。

そしてただ理屈ではなく、この2年間で"大谷のおかげでまた野球が好きになった"という声は日本でもアメリカでも数えきれない。

これはまさに日本が生んだ奇跡であり、ベースボールにとっての宝である。

ダルビッシュは野茂を超える日本人最高のメジャー投手になるだろう。

ただ日本人としての括りではなく、その奪三振能力はメジャーでも歴代トップレベルである。その証に、メジャーデビューからの通算500奪三振、1000奪三振、1500奪三振はいずれもMLB史上最速で達成している。

そして2020年の短縮シーズンには、あわや日本人初のサイ・ヤング賞受賞という成績を残した。単年で比べれば日本人投手として最高の成績と言えるだろう。

両選手の記録や伝説は挙げるとキリがないので、主な記録のみ以下にタイムライン形式でまとめておいた。

大谷とダルの打ち立てた記録の数々

ちなみに輝かしい成功ばかりが目立ってしまうが、ダルビッシュは2015年春に、大谷は2018年秋にトミー・ジョン手術を受けている。両者とも怪我や不振に苦しんだ時期のほうが、世間の注目する成功の期間よりもずっと長い。

つまり今回のWBCは、この2人がただ同時に代表入りしただけではなく、選手として怪我もなく、素晴らしいシーズンを送った翌年という最高のタイミングなのである。

2021年にWBCが開催されていたら、ダルビッシュは移籍する年、大谷も怪我明けで二刀流としてブレークする前。両選手とも参加は実現していなかったかもしれない。

共に東北の高校で甲子園を沸かせ、日本ハムの背番号11としてチームを牽引し、メジャーで記録を塗り替え続けている伝説の2人が初めて共闘する。それは侍ジャパンにとって、日本にとって、どんな明るいニュースにも勝る希望ではなかろうか。


"母の国"を背負える喜び

選手によって母国の定義は異なる。

日本代表のラーズ・ヌートバーや、韓国代表のトミー・エドマンは、それぞれ日系、韓国系のアメリカ人として代表に初選出された。両選手とも生まれも育ちもアメリカでありながら、親の生まれた国を想う気持ちは他の代表選手と遜色がない。

むしろ当たり前ではないからこそ、誰よりも噛み締める喜びは格別なものだろう。実力だけでなく、変わることのないアイデンティティを認められたのだから。

日本代表に選出されたヌートバーの生い立ちや日本への想いに心を打たれた日本人の多さを見れば、すでに彼が立派な日本人の心を持つ選手であることを否定することなどできまい。

他にも特別な想いで国を代表する選手たちがいる。

カナダ代表のフレディ・フリーマンはアメリカ生まれ、アメリカ育ちであるが、前回同様に最強アメリカではなく両親の生まれたカナダを代表する。

フレディ・フリーマン MLB.comより

1枚目のfWAR比較で、カナダに飛び抜けて優秀な赤マルがあるのはそのためだ。

フリーマンの母親は彼が10歳の時に他界した。彼にとってはカナダ代表として出場するのは、母の記憶を色褪せないものとするためだという。

またマーカス・ストローマンも今回同じような決断をした選手の1人だ。

マーカス・ストローマン MLB.comより

前回はアメリカ代表として活躍し、大会MVPを獲得したが、今回は母親の生まれ故郷であるプエルトリコを背負ってプレーする。並々ならぬ決意がうかがえる。

そして偶然か必然か、彼らはみな母親の国を選び、そして選ばれた。

母国とは何か、日本人であることが当たり前である身にとって、新鮮で考えさせられる問いかけをしてくれる。


選手より強そうな監督たち

今大会では監督たちの顔ぶれにも注目せずにはいられない。イタリアはマイク・ピアッツァ、プエルトリコはヤディアー・モリーナ、イスラエルはイアン・キンズラーが監督として招集された。

いずれも初のWBC代表監督となる。

マイク・ピアッツァ

マイク・ピアッツァ MLB.comより

言わずと知れた殿堂入り選手。

キャッチャー史上最高と言われる打撃力が特徴で、通算427HRはキャッチャーの中でメジャー歴代トップである。

10度のシルバースラッガー賞、12度のオールスター選出などの輝かしいキャリアを評価され、2016年にアメリカ野球殿堂入りを果たした。また引退後は家族と共にイタリアに移住し、長くヨーロッパ野球の振興に尽力している。

ヤディアー・モリーナ

ヤディアー・モリーナ MLB.comより

もう1人の伝説的キャッチャー。

8年連続を含む9度のゴールドグラブ賞、7年連続を含む10度のオールスター選出、2度のワールドシリーズ制覇など、カージナルス一筋19年で積み重ねた功績と人気は凄まじい。昨年引退したばかりだが、殿堂入りも大いに期待されている。

またモリーナといえば、前回大会での名プレーが記憶に蘇る人も多いだろう。これに代表されるように、モリーナは捕手として肩の強さ、捕球技術、リード能力に長けていて、バッテリーを組む投手からの信頼はバツグンに高かった。

イアン・キンズラー

イアン・キンズラー MLB.comより

通算257HR、2度のゴールドグラブ賞、4度のオールスター選出という成績を残した名二塁手。2019年には怪我により"中途半端に野球を続けるのは誇りが許さない"として、史上2人目の通算1999安打で現役を引退した。

前述2人の輝かしい功績やスター性を見るとやや角落ち感があるが、実績自体はなんら遜色ない。また2013年にレンジャーズからタイガースに移籍する際には、"レンジャーズには0勝162敗してほしい"と発言したことでも有名。


ここまで書くと、監督の方が選手より強そうに見えてくる。プエルトリコは流石に大丈夫だろうが、イタリア、イスラエルは監督にプレーしてほしいとファンから思われないよう、選手たちの活躍を祈るばかり。

他にも、2009年大会で代表として活躍したマーク・デローサがアメリカ監督に、そして現役メジャーリーガーのネルソン・クルーズがドミニカ共和国でGM兼DHとしてチームを取りまとめる。


まとめ

さて、一応ありきたりの情報列挙ではなく、よりWBCを楽しめる視点の紹介を心がけたつもり。

ここで紹介できなかった魅力の多さたるや、今回のWBCはベースボール史上最高の国際大会となること間違いなし。

ここまで読んでくれる方はほぼいないと思うので、最後に日本代表について率直に触れておく。

日本は過去最強のメンバーを揃え、優勝も大いに期待できる。ただ同時に、頂への道のりは決して緩やかではない。

上述の未知パートに加えて、今大会は第1ラウンドを勝ち抜けたらトーナメント方式となる。

つまり決勝まで、負けたら終わりの一発勝負で戦わないければいけない。前回までとは違った緊張感をはらんでいるのだ。

またその一方で優勝への期待値は過去最高であり、それ以外の結果は望まれていない。そして決勝アメリカ戦での大谷vsトラウトという出来すぎた未来予想図が描かれている。

現実が期待に追いつくのか、それとも超えていくのか。あるいは。。

といった感じ。

もちろん日本の優勝は最大の望みであるし、最上の喜びなのだが、同時に他の国々の激闘にも目を向けたい、向けてほしい。世界に広がるベースボールの奥深さを知りたい、知ってほしい。

彼らが一様に最高峰の舞台として夢見てやまない、メジャーリーグの舞台で活躍する選手たちを目に焼き付けたい、焼き付けてほしい。

そんなとっさの思いで書き綴った駄文長文にここでピリオドを打ち、日本の、そして国々の応援に集中することにしよう。

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