トラウトのWARはどこまで伸びるのか
エンゼルスのマイク・トラウトは現役最高の選手の1人だろう。5ツールプレイヤーとして、打って走って守れる数少ないMLB選手だ。
2011年のデビューイヤーこそ打率.220と苦しんだが、その後8年間は完璧すぎる成績を残し、そのすべての年でオールスターに出場、MVP投票でも1位3回、2位4回、4位1回となっている。
2020年、21年は短縮シーズンと怪我の影響で試合数こそ少なかったが、それでも安定して高レベルの成績を残している紛れもないレジェンド。
現在までの通算成績は以下の通り。
打率 | HR | 打点 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|
.305 | 315 | 826 | .419 | .585 | 1.005 |
現在30歳、メジャー12年目でキャリアは後半に差し掛かっている。今回はそんなトラウトと歴代のレジェンドをWARで比較してみようと思う。
異次元の9年間からの停滞
まずは以下のチャートを見てほしい。
このように歴代最高選手たちと比較すると、デビューから9年目までのトラウトは歴代最高に近いペースでWARを積み重ねていることが分かる。
6年目までのペースは511勝投手サイ・ヤングについで2位、9年目までのペースはベーブ・ルースよりも上である。
過去2年で伸びが停滞しているが、前述の状況を考えればこれからも安定してWARを積み重ねていくと予想できる。
しかしここで、1人の現役プレイヤーの例も見ておくべきだろう。
もう1人の現役最高プレイヤー
トラウトの通算rWAR 77.41は現役選手では2位の数字であり、1位は今シーズンで引退を表明しているプホルスの99.8となっている。
そこで、両選手のWARも年ごとに比較してみる。
このチャートを見て分かるのが、プホルスとトラウトは9年目までのWARペースが酷似していることだ。プホルスはその後ペースを落とし、デビューから16年目にWARのピークを迎えている。
両選手の12年目シーズンまでを比較するとrWARに14の差があるが、トラウトの成績を見れば、その差はこれから縮まっていくと考えるべきだろう。ただトラウトもプホルスと同じような下降曲線を辿る可能性も捨てきれない。
最初のチャートに戻ると、歴代トップ5の選手は全て21年以上のキャリアがあり、そのキャリアを通してWARを増やし続けている。そして忘れてはいけないのは、WARは安打数のように必ず増えるとは限らないということだろう。
つまりトラウトが通算WARで上記レジェンド達の数字に迫るためには、下記2点が必要最低条件であるとわかる。
- 出場試合で安定してMVP級の成績を残すこと
- 大きな怪我をせず、40歳前後まで稼働し続けること
それでは最後に、どこまで伸ばせるのか?という疑問について。
ウィリー・メイズを超えられるか
トラウトの守備位置はセンターフィールド。MLBには歴代で素晴らしいセンターフィールダーが数多くいるが、そのトップに君臨するのはウィリー・メイズだろう。
通算WARも歴代5位で、MLB史上最高の5ツールプレイヤーと称されることからも、トラウトが最も超えていきたい壁である。
メイズは通算23年のキャリアでWAR 156.3。トラウトがあと10年活躍し続ければ届かない数字ではないと思うが、いかがだろうか?
また仮に通算WARでメイズを超えたとして、トラウトは歴代最高のセンターフィールダーと呼ばれるまでになるだろうか。
メイズは12度ゴールドグラブを受賞しているが、トラウトは1度も獲ったことがない。
以下の通り通算OPS+2ではメイズを上回っているトラウト。WAR以外の数字では、守備と打撃を天秤にかけて比べられることになりそうだ。
キャリア年数 | 通算OPS+ | |
---|---|---|
W. メイズ | 23年 | 155 |
M. トラウト | 12年目 | 177 |
おまけ
--