MLBの洞窟

高額契約は半分も成功しない

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今回は年俸と成績の関係について触れてみようと思う。

MLBでは選手年俸の高騰が続いている。実際に、年俸2000万ドル(約25億円)以上の選手が昨シーズンは40選手だったのに対し、今シーズンは48選手と20%増えている。

その一例として、昨年11月にはシャーザーがメッツと3年総額1億3000万ドルの契約で合意した。単年あたりでは4333万ドル(約56億円)となり、MLB史上最高の年俸である。

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高額契約を結ぶ選手は実績や期待値があるわけなので、もちろん活躍しているケースが多い。ただ今年に入って以下のような高額選手たちの失敗(?)が目立ってならない。

3選手いずれも2400万ドル以上の年俸で今年をスタートしている。そこでふと現時点での高額選手の成績分布が気になり、調べてまとめてみた。

2022年

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ここでWARについて、いくつか補足することがある。

まず第一に、投手と野手をまとめて比較するためにWARを持ち出しているが、今回あえてfWARを選んだ深い理由はない。強いていうならば、この記事の趣旨によりソースとして合っていると感じたためだ。

fWARとrWARの違いについては、また別の機会に紹介できればと思う。

また年換算の数値に関しては、ほぼ間違いなく平均に向かって収束するだろう。つまり5人がfWAR10以上の成績を残すとは考えにくく、1人でも越えれば良いところ。

逆に言えば、現在下がるところまで下がっているジョーイ・ボットももう少しまともな成績に戻してくる可能性が高い。(と切に願っている)

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要するに、上のデータは現在のペースのまま成績を維持した場合の最終値であり、あくまでも目安として見るべきである、ということ。

次にFAの相場で1WARが約800万ドルである点も、チャートで触れている通り選手によって状況が異なるので、本来単純化できるものではないだろう。

ただ今回は、一つのチャートにまとめるために最もマシな水準と判断したまでである。なのでハーパーが基準線より少し下だからと騒ぐことは全くない。

最後に、背景の色分けで表しているWARのレベルに関しても、見解が統一している訳ではないと付け加えておく。その上で、今回はなるべくシンプルに分けている。

さて補足が長くなったが、上記の点を踏まえればチャート自体はシンプルなので、気になる選手のデータを見てもらえればと思う。"詳細が見れるver."のチャートをマウスでホバー、あるいはタップすれば基本的なプロファイルが見れるようになっている。

また先ほど収束すると述べたが、実際に2021年のチャートを見てみると視覚的に分かるだろう。

2021年

以下の通り、最終的にWARが0~8の間に収まっている。

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2021年は年俸2000万ドル以上の選手のうち、給料以上の成績を残している選手の割合は約42.5%であるが、2022年は今のところ約39.6%となっている。

いずれにしても、約60%の高額契約は期待にそぐわない結果となっているようだ。チームにとって契約とは主に選手の未来への投資であるが、判断材料は過去と現在にしかない。

多くの確率で期待よりも低い成績となることを覚悟しつつ、1億ドル以上の金額を用意しなければチームはスター選手は獲得できない時代ということだろう。

今シーズンが終わるタイミングでもあらためて年俸と成績を見てみると面白そうだ。さてこれからどのように成績が変化するだろうか。そしてこの中から今年のMVP/サイ・ヤング賞は生まれるだろうか。

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